刺青・タトゥーは、就職・結婚などの社会的問題が大きいのですが、ご本人にも命に関わる問題も起きることがあります。
ご本人に起こる問題で一番多いのが感染症ですが、アメリカからの情報ではさらにいろいろな問題の報告もあります。
日本での刺青・タトゥーで起き得る問題の研究はまだ行われてはいませんが、今後必要かと思います。
⒈アメリカからの情報
1-1.刺青・タトゥーで使用しているインクには発疹や感染症、炎症を引き起こす危険性があり、またインクの化学成分が長期的に健康にどのような影響を及ぼすかについては、医師らもまだはっきり把握していない
1-2.黒いインクに含まれる化学物質ベンゾピレンが動物実験で皮膚がんを発症させることがある
1-3.刺青・タトゥーを施した部分に悪性黒色腫(メラノーマ)が見つかることもある
しかし、未だ刺青・タトゥーに使用するインクが、皮膚や体とどのような反応を起こすのかは現段階では分かっていないとのことです。
2.米ワシントン大学の皮膚科ミチ・シノハ先生の刺青・タトゥーの危険性への助言
2-1.刺青・タトゥーを入れようという人は、リスクがあることを知っておくこと。
2-2.問題が起きたら、形成外科や皮膚科で適切な診断と治療を受けること。
2-3.症状としては刺青・タトゥーの顔料へのアレルギー反応が最も一般的だが、殺菌消毒が十分でない刺青・タトゥー施術と梅毒やB型肝炎、C型肝炎の感染との間に関連性があること。
3.ミチ・シノハ先生からの刺青を入れる前のアドバイス
3-1.「タトゥーアーティスト」があなたの国や自治体が定める免許を持っているかどうか確かめる。
3-2.プロのタトゥーアーティストの元に行くこと。
3-3.使用するニードルはすべて減菌パックに入った使い捨てニードルであること。
3-4.アーティストが手を洗い滅菌グローブをつけていることを確かめる。
日本では、アメリカのように免許を持った「タトゥーアーティスト」はいませんが、3-3, 3-4は参考になると思います。
4.日本では厚生労働省からの通達があります。
刺青・タトゥーやアートメークなど、針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為は、医師が行うのでなければ、保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する。
医師法第17条:医師でなければ、医業をなしてはならない
人の体に傷をつけて行う刺青・タトゥーやアートメークは全て医療行為であり、医師以外が行うと医師法違反で逮捕される。
5.刺青・タトゥーの危険性 B型肝炎・C型肝炎そしてHIV
刺青は肌に傷をつけて色を塗りこむものです。その傷をつける時に針やグライダーが使われますが、この時多少の血液や滲出液がつきます。
それが針やグライダーと介して、次の刺青希望の方に使われると感染が起きることになります。
全員が血液検査をしてから受けられれば良いのですが、医療機関以外では無理です。
対策としては、針やグライダーをすべて使い捨てにすることですが、高価な機器の場合は当然消毒して使用されることになります。
また、その消毒も完全にされているかは、わかりません。
刺青で感染する可能性が高いと言われてるものは、B型肝炎、C型肝炎、エイズの3種類です。
5-1.B型肝炎
日本人の約1%が保有しているといわれ、感染力は強く、ごく少量の血液でも容易に感染します。B型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎を起こしますが、ほとんどは治癒して保菌者にはなりません。
しかし、その1%に劇症肝炎を起こすことがあり、この場合には1週間ほどで死亡する可能性がありますので、私自身としては恐ろしい疾患と考えています。
また、時に一部慢性化して、慢性肝炎となり肝硬変や肝臓癌になることもあります。
5-2.C型肝炎
C型肝炎ウイルスも日本人の約1%が保有しています。感染すると約80%が保菌者となり、半数は慢性肝炎を引き起こし、肝硬変・肝細胞癌に至る可能性が高くなります。
4-3.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
血液製剤により感染した報告が社会問題となったエイズ感染症です。 保菌者はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスよりかなり少ないのですが、感染すると死亡する確率が高くなります。ただ、最近は強力な抗ウイルス療法により短期的な死亡率は改善されています。
6.私のクリニックでの対応
ある調査では刑務所の受刑者の調査で、刺青を入れた者の約70%以上がC型肝炎ウイルスに感染していたという報告があります。
広範囲の刺青の方は、普通の方より感染率が多いのが事実です。
私のクリニックでは、刺青除去の前には必ず血液検査を行っています。
また、治療は希望しないが、感染症の検査のみも行っています。
ご希望の方はご連絡ください。
尚、検査で感染症が判明した場合は、私が信頼している内科医をご紹介します。
まとめ
人の体に傷をつけて行う刺青・タトゥーやアートメークは全て医療行為であり、医師以外が行うと医師法違反で逮捕されます。
刺青・タトゥーを入れることは、B型肝炎・C型肝炎そしてHIVに感染する可能性があります。
刺青・タトゥーを入れられている方は、一度は感染症の検査をされることをお薦めします。
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眼瞼下垂治療 *クリニック院内 |
保険が適応できるものはできるだけ保険で治療を行います((形成外科・皮膚科)。 保険であっても、美容(見た目)を配慮した治療を行います。 形成外科医としてケガ、傷あと、まぶたのトラブル(眼瞼下垂・逆さまつ毛)、皮膚腫瘍の治療は専門的治療を行っています。 また、子供の外見的な形態異常、ケガ、傷あとの治療には特に力を入れています。 当院の診療には保険診療と自由診療がございます。美容治療はすべて自由診療となっております。 |