耳介部多発ピアスケロイド13例の検討


最近は耳にピアスをたくさんされる方が増えています。

それに伴って多発ピアスケロイドの患者さんの増えてきています。

 

<目的>最近は、片側耳介に多くのピアスを行なうことがあり、それに伴い多発ピアスケロイドが発生している。治療は後療法を前提とした外科的治療であるが、多発であるために手術回数が多くなり圧迫療法にも工夫が必要となる。

今回、耳介部に発生した多発ピアスケロイド13例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。

 

<対象および治療法>2007年1月より2010年1月までに外科的治療および後療法を行い

8か月間以上経過観察できた耳介部多発ピアスケロイド13例を検討した。手術法は可能な限り切除・単純縫合を基本としたが、ケロイドが大きく全摘すれば耳介に変形が生じる場合は、一部の皮膚とケロイド塊のみを選択的に摘出し、残った表層皮膚を皮弁として使用するいわゆる「くりぬき法」を行った。多発ケロイドに対する手術は術後に行う持続圧迫を考慮して、摘出ケロイドを決定した。術後は持続圧迫に加えてステロイドの局所注入も併用した。

 

<結果>年齢は16歳から36歳(平均21.8歳)で、男性3例、女性10例であった。ケロイドの個数はそれぞれ3個から9個の65個合計で、発生部位は左耳介2個~5個、右耳介は1個~5個であった。手術方法は 切除・単純縫合が28個、くりぬき法が37個であった。術後の経過観察期間は8か月から24か月であり、後療法期間は6か月から23か月平均13か月であった。再発は見られていないが、1例は術後24か月現在も後療法を続けている。

 

<考察>耳介部ピアスケロイドの治療は、後療法を前提とした外科的治療が有効である。後療法としては持続圧迫が重要であるが、一つの圧迫器具で多数の部位を同時に圧迫した場合は、十分は効果が得られない。したがって手術を行う場合に、術後圧迫しやすいようにケロイドの間隔を考慮して摘出する必要がある。また、後療法は単発例より長期化やすいので、患者に後療法の重要性を十分に説明する必要がある。

ぜひ役に立ったと思いましたらシェアお願いいたします