ピアスケロイドの外科的切除法はいくつかありますが、大きいケロイドの場合は切除により耳の形が変形してしまいます。
私のこの方法は、変形を小さくする方法です。
<目的>耳垂部ピアスケロイドの摘出後の再建としては単純縫合が理想であるが、ケロイドが大きく、全摘すれば耳垂が小さくなりすぎたり変形する場合は、局所皮弁や薄い中間層植皮が行われている。しかし、皮弁を作成することは、健常な皮膚にメスを入れることであり、これにより新しいケロイドが形成される危険性が高い。また、皮膚移植では、採皮部が瘢痕として残ることになる。演者は、一部の表層皮膚とケロイド塊のみを選択的に摘出し、残った皮膚を皮弁として使用する「くりぬき法」を用いている。今回、演者の行っている「くりぬき法」について報告する。
<方法>ケロイドと正常皮膚の境にケロイドを取り囲むように線を引く。この線上にケロイドの幅が最長と最短となる点を上下・左右に決め、ケロイドを4等分するように線を引く。次に、最短となる線上の左右の基部より短軸の長さの2/3のところに印をつける。この点が左右の皮弁の最長点となる。この点を中心としてケロイドの上下の長軸の基部に向かって紡錘状の線を引く。局所麻酔下に、中心部の皮膚と真皮層のケロイドを可及的に摘出する。止血後左右に作成した皮弁を中心に寄せて欠損部に合わせ、先端の皮弁をトリミングした後に縫合する。1週間で抜糸し、術後4週間後より熱可塑性プラスチックによる持続圧迫とステロイドの局所注射を行う。
<考察>菅原らにより発表された「くりぬき法」は、ケロイドは真皮の疾患であり、またその表皮は正常皮膚の表皮と根本的な差を認めないという考えに基づいたもので、真皮層のケロイドを摘出した後、正常に近い表皮を再利用するものである。皮弁作成において重要なことは、皮弁の幅をケロイドの短軸の2/3にする事である。ケロイドを摘出することで作成される皮弁は先端部分が薄く基部が厚くなりやすいため、先端部分は壊死になる事を考慮して、あらかじめ欠損部より大きな皮弁を作成する必要があるからだ。