2013年の日本形成外科学会ではピアスケロイドに関する演題を2つ発表してました。
1題はシンポジュームでした。ピアスケロイドが増えてきたため一つのシンポジュームとして企画されました。
シンポジュームより
<目的>近年、ピアス型イアリングの装着が急速に浸透し、耳垂ピアスケロイドが多く生じている。耳垂部ピアスケロイドは手術治療の結果が良い事から、積極的に手術が行われている。しかし、ケロイドの外科的治療は、手術自体がケロイドの誘因となるため術後療法が必要と考えるが、その適応の有無と内容は術者により意見が分かれている。
演者らは耳垂部ピアスケロイドに対し、持続圧迫とステロイド局所注入の術後療法を前提とした外科的治療を行っている。今回、具体的治療法とその長期結果について報告する。
<患者への説明>ケロイド治療は再発の可能性が高いため、たとえ治癒したと思われても数年後に再発する事と、再発の場合は必ず再診する事を患者に説明した上で治療を行っている。
<治療法>手術法は可能な限り切除・単純縫合を行った。しかしケロイドが大きく全摘すれば耳垂が小さく変形したりする場合は、一部の皮膚とケロイド塊のみを選択的に摘出し、残った表層皮膚を皮弁として使用する「くりぬき法」を行った。後療法としては, ステロイドの局所注入を2週間毎3か月間行い、熱可塑性プラスチックを用いた持続圧迫を6か月間行った。
<対象および結果>1999年4月より2009年6月までの10年2ヶ月の間に当クリニックで術後療法を併用した外科的治療を行った耳垂部にのみに限局したピアスケロイド85例のうち3年以上経過観察ができた症例15例を検討した。
<結果>年齢は16歳から34歳(平均26.5歳)、男2例、女13例であった。
手術方法は全例くりぬき法を行った。15例のうち 6例に再発を認めた。再発例は多発4例と後療法を実施しなかった2例であった。
<考察>3年以上の長期経過観察ができた症例は85例中15例であった。これは演者らの治療法が効果的であり、再発例少なかった事もあるが、患者が若年であり、長期的治療の必要性に理解が得られず、治療を中断している事も理由と考える。ケロイドに対する長期治療の難しさを認識した。