通常、レーザー治療の具体的照射方法はそれを行う医師には興味のあることですが、受けられる患者さんは目を閉じていますので、どのように行われているかわからないものです。
そこで実際にどのように照射しているのか説明してみます。
最初に、痛み止めの注射と行います。炭酸ガスレーザーは100度以上の熱が生じますので麻酔なしでは照射できません。
注射の嫌いな方には麻酔クリームを薦めているクリニックもあるようですが、正直全く痛みは和らぎません。麻酔注射は必ず必要です。
麻酔薬は0.3.%エピネフリン(E)入りリドカインを使用します。
十分に麻酔が効いてから、レーザー照射を行います。照射中はハンドピースの先端を左右に動かし、照射部位の深さを一定にすることが重要です。
これは,連続波では熱損傷が強く、1箇所に集中して照射すると皮膚全層を蒸散させて深い穴があき、強い傷跡が生じるからです。
ところがこの操作が以外と難しく、かなりの経験がを必要とします。
30秒ほど照射したら一旦照射を中止し、生食ガーゼを用いて焼灼された組織を取り除きます。
この操作を刺青の大きさに応じて繰り返します(根気のいる仕事です)。
また、炭酸ガスレーザーを用いた小範囲刺青の治療では、色素を残らず除去することができますが、広範囲となると色素の深さのバラツキや操作上の問題から取り残されることがあります。
そのため,私は炭酸ガスレーザー照射直後に残存が疑われる黒・青・赤の色素に対してはQスイッチヤグレーザー(通常色を薄くするレーザーです)を追加照射して対応しています。
治療回数は原則的に1回としますが、照射時間が長くなる場合は2回に分けて行うこともあります。
かなりの広さの刺青の治療も可能ですが、長時間となると患者の疲れますし、レーザーにも負担がかかるため通常3時間を限界としています。
最近、背中一面の刺青の治療を希望されてこられる方が多くなりました。
このように広い場合は2~3回に分けて行う必要があります。
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