気楽にいれた刺青。
しかし、それを「消す?」にはかなりのお金と時間そして傷跡との付き合いなどを書いてきました。
今回は、刺青治療の前に知っておかなければならない刺青により感染症についてお話します。
刺青は肌に傷をつけて色を塗りこむものです。その傷をつける時に針やグライダーが使われますが、この時多少の血液や滲出液がつきます。
それが針やグライダーと介して、次の刺青希望の方に使われると感染が起きることになります。
全員が血液検査をしてから受けられれば良いのですが、医療機関以外では無理です。
対策としては、使われる針やグライダーがすべて使い捨てにすることですが、高価な機器の場合は当然消毒して使用されるることになります。
しかし、すべて完全な消毒がされているかは、彫り師次第となります。
言い忘れましたが、一番良い方法は刺青を入れないことですが。
さて、刺青で感染する可能性が高いと言われてるものには、B型肝炎、C型肝炎、エイズの3種類があります。
1)B型肝炎
日本人の約1%が保有しているといわれ、感染力は強く、ごく少量の血液ででも容易に感染します。B型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎を起こしますが、ほとんどは治癒して保菌者にはなりません。
時に一部慢性化して、慢性肝炎となることもありますが、肝硬変や肝臓癌になることがあるが、C型肝炎ウイルス感染よりは少ないようです。
ただ、その1%に劇症肝炎を起こすことがあり、この場合にはに1週間ほどで死亡する可能性がありますので、私自身としては恐ろしい疾患と考えています。
2)C型肝炎
C型肝炎ウイルスも日本人の約1%が保有しています。感染すると約80%が保菌者となり、また、感染した場合の半数は慢性肝炎を引き起こし、肝硬変・肝細胞癌に至る可能性が高くなります。
3)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
血液製剤により感染した報告が社会問題となったエイズ感染症です。
保菌者はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスよりかなり少ないのですが、感染すると死亡する確率が高くなります。ただ、最近は治療薬の進歩により、一定の基準を満たせば強力な抗ウイルス療法により短期的な死亡率は改善されています。
私のクリニックでも治療前には血液検査を行っていますが、幸いなことにまだこれらの感染症にかかられていた方はおられまん。
しかし、ある調査では刑務所の受刑者の調査で、刺青を入れた者の約70%がC型肝炎ウイルスに感染していたという報告があります。一般の方より広範囲の刺青の方が多いせいもありますが、それでも最も問題となる感染症だと思います。
刺青を考えている方は彫り師の方に消毒について聞かれてはいかがでしょうか。命と引き換えに刺青を入れるのは考えものです。
ちなみに、刺青を受けられる方のことばかり心配されますが、実際は彫り師の方のほうが何倍も危険に晒されていることも忘れないで下さい。
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