具体的は治療法について説明してきましたが、実際は、ひとつの方法だけで治療できる刺青はそれほど多くありません。いくつかの方法を組み合わせながら行われています。
治療法の決める基準は、刺青(入れ墨)の色・大きさ・部位・ご希望の治療期間および予算などで、患者様の希望が一番重要となります。
そこで今回は、患者さんの希望に合わせた治療法の選択についてお話します。
「色で考える場合」
1)黒一色の場合(絵柄には関係なし)
a)とにかく傷跡を可能な限りきれいにしたい方
レーザー治療が第一です。お金と時間はかかりますが、傷跡が一番きれいです。
ただし、治療期間は2-4年かかることもありますし、治療費も小さい刺青でも軽自動車ほどですし、広範囲となるとベンツが買えるほど必要です。かなり経済的に余裕がなければできませんが。
(患者さんの例)
若い女性の方で背中の黒一色の線彫りの刺青の治療に、ご両親と受診されました。治療期間や治療費は関係なく、できるだけ傷跡を残さず治療したいとのご両親の希望で、レーザー治療をお勧めしました。
b)治療時間を短くしたい方
結婚式前や就職前などで治療を希望される場合です。
刺青の範囲が狭い場合は切除縫縮術とします。傷跡は残りますが、1回の治療で終わります。
しかし、範囲が広くなると2~3回に分ける必要があり、そうなると治療期間が長くなるために、初回から炭酸ガスレーザーを用いた皮膚削皮術を行います。
また、時は少しでも傷跡を小さくしてほしい患者さんの場合は、1回目に可能な限り切除縫縮し、1か月後に炭酸ガスレーザーを用いた皮膚削皮術を追加することあります。
(患者さんの例)
1)赤ちゃんを抱えた女性の方が、胸のミッキーマウスの刺青の治療を希望して受診されました。今度子供と一緒にプールや温泉に行きたとのことでした。多色彫りで小さい範囲でしたので、1回の切除縫縮術で終わりました。傷跡よりも子供との関係が重要ですね。
2)30歳前後の男性で左上腕にどくろの刺青の治療で来られました。結婚相手の両親に刺青の治療をする条件で結婚を許されたそうです。それも短期間に。
1回の切除縫縮では無理でしたので、炭酸ガスレーザーを用いた皮膚削皮術を行いました。短時間での治療が可能でしたが、傷跡が気になったので後日連絡したところ、無事結婚できたそうです。
腕には傷跡が残りましたが、心の傷はなくなったようです。
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